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アナルコ・アルカホリズム

ビラ「入学式 ボイコットしませんか?」(2024年度大阪公立大学入学式)

 みなさん、大阪公立大学へのご入学おめでとうございます。私は大阪公立大の大学院に今年度から入学することになった者です。高校生・高専生・浪人生から大学生という新たなステージへと一歩を踏み出すみなさんは、きっと大学生活をどのように楽しんでいこうか、どんな勉強に取り組もうか、期待と希望で胸がいっぱいだと思います。そんな節目の記念行事として、入学式とは重要な役割を果たしています。そうしてきちんと服装を整えて大阪城ホールまでやってきたみなさんに水を差すようで非常に恐縮なのですが、私は大阪公立大の入学式へのボイコットを呼びかけています。

 なぜ自分自身も当事者である入学式をボイコットするのか。ひとえにその理由は大阪府市の維新行政に対する抗議です。大阪の政治が維新によって掌握されてすでに10年以上。確かに赤字が膨れ上がっていた財政を立て直したり、職員体制や行政組織が抜本的に変わって来たりと、「改革・成長」のもといままでおこなってきたことは一見するととても評価できることかもしれませんし、実際にその政治的手腕は並々ならぬすごいものがあります。しかしその裏には多大な犠牲や切り捨てられてきたものがあり、苦しんでいる人も大勢いるということもまた事実です。

 来年には万博が控えています。きっと今日の入学式でも吉村洋文なんかはそのことに触れないわけがないと思います。大阪のそこらじゅうにマスコットキャラクターがラッピングされ、マスメディアは万博が盛り上がるぞ、経済効果を生み出すぞと日々宣伝を続けています。しかし現実を見ると工事はろくに進んでいないし、わけのわからない木製リングやトイレ設置に何百億円も使われているし、つい先日には地下のメタンガスに引火して爆発事故まで起きました。海に隣接した人工島という立地なのにろくに災害対策も立てられていないし、跡地にはカジノ施設を建設する予定であるという話すらあります。なにより雪だるまのようにどんどん関連予算が増えていき、それは私たちの税金から出ているにもかかわらず追及に対しては知らんぷり。こんなに問題だらけの万博、本当に開催する意味があるんでしょうか?私たちが協力する必要なんてあるんでしょうか?

 そして私たち学生も無関係ではありません。近いうちに森之宮キャンパスが完成し、一部の学部や研究科がそこに移転することが計画されています。しかしこれもまた工事が延期して、依然としていつどうなるか学生も教職員もあまりわかっていません。そもそも移転計画の発端となった大阪市立大と大阪府立大の統合も二重行政の解消だとか予算削減のためだとかで維新行政から提言されたことですし、なによりキャンパス移転という行政と大学当局による一方的な重要決定事項に私たちは否応なく従わないといけないことはおかしいのではないでしょうか。先月突然の思いつきのように吉村は「大阪公立大を秋入学にする、英語を公用化する」などと言い放ち大きな混乱を呼びましたし、公立高校が3年連続で定員割れすると統廃合されるという問題もあります。教育や学問の根本的な役割や大切さを軽視して単なるお金儲けや都市開発のために利用するという態度や、大学という学内の自治が守られるべき存在に行政が介入し口を挟むということが当たり前になっている現状には、大きな疑問をいだかざるを得ません。

 また維新行政は卒業式において「君が代」斉唱に抗議するために起立しなかった教員を処分し、不起立を職務命令違反とする条例を制定しています。「日の丸」「君が代」はかつて日本が天皇制のもとアジアを侵略・支配するシンボルとして使われてきた存在であり、また現代においても日本という国家に従うことを見定める踏み絵として使われています。これを批判して拒否することすら許されなくなっているというのが、残念ながら現代の日本です。今日の入学式で国歌斉唱があるのかはわかりませんが、私はこのように思想・良心の自由が蔑ろにされていることに強い危機感と恐怖を感じています。また維新行政は被差別部落在日コリアンなどに関する展示を行っていた大阪人権博物館に対する補助金を一方的に打ち切って博物館を取り潰したり、開催こそされたものの「表現の不自由展」の会場使用許可を取り消したりしたということもありました。いずれにせよ、維新関係者の人権意識についてはいまいちど問い直さなければなりません。

 他にもまだまだ維新行政の問題は山積みです。保健所や病院の削減、公務員の減少、公園や道の街路樹の伐採、再開発による路上生活者の排除、相次ぐ議員の不祥事、あげていけばキリがありません。そのすべてが「身を切る改革」だとか「大阪の成長を止めるな」などという美辞麗句で覆い隠され、そのアピールによってよくやっているのかと漠然とした印象をもってしまいます。しかし実情を考えてみると大企業やグローバル企業といった一部のお金持ちばかり優遇することによって見かけの「成長」を押し進め、一方で非正規雇用の拡大や福祉の切り捨てによって庶民や中小企業は逼迫していくということが進んできたのが、維新政治のもたらした結果ではないでしょうか。

 現在大学生の置かれている立場は非常に厳しいものになっています。入学してすぐに就活のためのガクチカ作りやTOEIC対策に奔走し、GPAや取得単位数を気にしなければならず、自分が本当にやりたいことはなんだったのかということを忘れそうになるかもしれません。またおかしいと感じたことがあってもなかなかそれを表現する場や方法がなく、声を上げるとすぐに大学当局から厳しい対応を取られることもあるでしょう。しかし忘れてはならないのは、大学における主体とは学生であり、学生自らが意思をもって行動すべきであるということです。大学とはいままでの一方的な学校教育とは異なり、自主や自治が尊重される空間です。残念なことに権力者は平気で嘘やペテンで人を騙すし、自分たちに都合のいいことしか言いません。そうした人たちの言うことにだまって従うのではなく、常に批判的な視点を持ちつづけること。大学における学びとはそういうものではないかと思います。

 

※この活動がなんなのかと興味を持たれた方やこれから関わってみたいという方がいらっしゃれば、下記連絡先を参照してください。

・全国学生行動連絡会

メールアドレス:gakusei.koudou@gmail.com Twitter:@info_gakukou

・私個人

メールアドレス:blackcross2022@yahoo.co.jp

 


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